​なぜ私たちがこの活動をするのか?

「ジブンゴト」化のパイオニアに

 

 最近では、SDGsが様々な場面で取り上げられ認知度も高まっている。

 その一方で、「SDGsが大切なのは分かるが、いまいちピンとこない」と思っている方は多い。SDGsは17個のゴールがあるが、この矛盾しあっている要素を共に実現させようとする努力からイノベーションが生まれることを、この「お野菜絵の具」の活動を通して、高校生と大学生という若い世代が社会に証明したい。

 例えば、このお野菜絵の具の活動は「目標12.つくる責任つかう責任」に注力しているように思われがち。確かに、ターゲット③の「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」にもアプローチしているが、それだけではない。

 

農家さんの収入は安定しているか

全ての人が正しい食育を受けることができているか

全ての人が自分自身を自由に表現できているか

住み続けられる街づくりはできているか...

 

 「お野菜絵の具」から17のゴール全てについて考えて活動内容の幅を広げていく。より多くの方々にSDGsを身近な「ジブンゴト」に感じてもらうために、私たちの食生活に欠かせない「野菜」をツールに日々の生活の中で社会問題について考えてみるきっかけを提供する。また、本来廃棄予定であったへんてこりん野菜(通称規格外野菜)を使用しているため、フードロスの削減に貢献することができる。

 

 

世代間の交流の場の実現

 

 かつての子供たちは、多くの兄弟姉妹・祖父母に囲まれて成長してきた。子供が家族というコミュニティの中で役割を持ち、家事も担っていた。しかし、現代社会では、兄弟姉妹の数や祖父母との同居も大幅に減少し、家族の中での人間関係が希薄化しているのが現状。一方の高齢者も、高齢夫婦世帯や単独世帯が増加しており、社会全体で生活の個人化と孤独化が進んでいる。

 

 そのうえで、様々な世代が心身ともに健全に育つことができる環境を「地域」で作り出すことが今求められている。こういった世代間での交流が生まれる場を、「お野菜絵の具」を使ったイベントで実現する。「野菜」は、世代関係なく全員が普段の生活で触れているもの。この「普段野菜を食べている」という共通点がコミュニケーションを生み、あらゆる世代の健全な人間発達と地域づくりに貢献している。生まれた時から祖父母と同居して過ごしている私だからこそ、世代間の交流の場の大切さを伝えられると思う。

 

 

農家さんの豊作貧乏問題へのアプローチ

 

 2020年は台風が上陸しなかったこともあり、野菜が市場に溢れている。この影響で野菜が大幅に値下がり、収穫された野菜たちはトラクター等で廃棄処理。野菜は、価格の変化に対して需要の変化が小さいことから、野菜を安く販売したところで需要が伸びるわけではないのが原因。

 

 加工品とは異なり、一次産品である農作品は人の力で収穫量をコントロールすることは困難で、とれ過ぎた場合は自分たちで処理して供給過多を防ぐ必要がある。この現象を「豊作貧乏」と言い、このコロナ禍でかなり大きな問題になっている。

 

 「お野菜絵の具」で使用する野菜は、地域で余っている野菜を主に使用。農家さんの下で余ってしまった野菜を引き取り、農家さんが余剰野菜を処理する手間・処理費用の削減・農家さんの心苦しさの軽減に貢献する。

 

 

メンタルヘルス

 

 私たちと同世代の20代の死因のうち、その約50%が自殺によるもの。内閣府の自殺対策白書によると、自殺者のうち6割~9割の人々が何らかのメンタルヘルスの不調を抱えている。多くの若者がこころの健康を失い、命を絶っている。この日本社会において、メンタルヘルス問題は重要な社会問題。

 

 お野菜絵の具は、お野菜本来の匂い・質感・色合いを楽しむことができる。野菜を含む植物の匂いは、モチベーションアップやリラクゼーション効果があり、「メンタルヘルスに役立つ香り」として様々なエビデンスが発表されている。また、土壌に生息する細菌に免疫調節やストレス耐性などの性質があるという研究結果が米国の研究チームから出ている。

 

 お野菜絵の具のワークショップでは、野菜から絵の具を作るところから体験。まだ土が付いた状態の野菜に触れて絵の具を作ることで、参加者の心身の健康に繋げる。野菜の色も心理効果とリンクし、野菜の色から受けるヒーリング効果は人間に癒しを与えてくれる。このように、お野菜絵の具の匂い・質感・色合いによって、人々の「こころ」に優しく寄り添う。

コロナ禍での「お家時間」の充実

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で、お家時間が確実に増えた。家に長時間いる中で、疲れを感じる人も増えている。そんなお家時間のひと休みとして、私たちはお野菜絵の具を家庭用に販売したり、オンライン塗り絵ワークショップを実施したりしている。

 

 何も考える必要はなく、自分の世界に入って集中してしばらく時間を過ごすことができる。世代を問わず、子供から大人の方まで幅広く楽しむことができる。